長編 | ナノ


「いやちがう、詰まったんじゃない」という彼の言葉に「はあ、そうですか」、と当たり障りのない返答をしておく。あいにく初対面でいや、詰まってただろ!とつっこめるほどの度胸は持ち合わせていない。

「まあえっと、今度はお気をつけて」

これ以上面倒に巻き込まれてたまるかと、なるべく足早に立ち去ろうとした。

こつこつこつ。
ぺたぺたぺた。

あれ、気のせいかな。足音がふたつ聞こえる気がする。ちなみにわたしの前にあるのは小路だけである。
立ち止まる。足音がやんだ。
なんだ空耳か。
再び歩き出す。

こつこつこつこつ。
ぺたぺたぺたぺた。

え、うそ。やっぱり聞こえる!
どうしようどうしようもしかしてこれが噂の妖怪ぺたぺたさんというやつか。
ええとこういうときはどうするんだっけ。
そうだたしか道の端に避けて言えばいいんだ。

「ぺたぺたさん、お先にどうぞ」
「ぺたぺたさん?誰だそれは」
「え、うわあ!!」

そこには妖怪ぺたぺたさんでなく、後頭部が魚のイケメンがいた。






足音とぺたぺたさん
(お兄さん、なんでついてきてるんですか)
20100316
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -