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小野妹子くん。私のクラスメイト。私は彼の名前が、すき。だって女の子みたいでかわいいから。彼の顔が、すき。女の子よりもかわいいから。



「小野くん」
「なあにみょうじさん」
「これね、あげる」

はい、とにっこり笑って手を突き出したら小野くんは訝しそうにしながらも掌を広げてくれたから、その上にことんと手の中のものを落とした。

「…いちごキャンディ?」
「あれ、嫌い?」
「いやそうじゃないけど。…ありがとう」
「よかったあ。やっぱり小野くんはいちごがすきなんじゃないかなあって思ったの」

言ったら小野くんはキョトンとした顔で私を見た。

「なんで?」
「だって小野くんてかわいいから」

いちごが似合いそうだなあって、
小野くんは苦笑いしながら「みょうじさんてさ、いつも僕のことかわいいって言うよね」と言った。

「だってかわいいもん」

そう、と小野くんはやっぱり苦笑した。

「ほら小野くんていちごみたいじゃない」
「え?」
「甘くてちいさくてかわいくて。だから、」
「ねえみょうじさん」

いちごって甘いだけじゃなくて酸っぱいよね、小野くんが突然遮って、今度は私がキョトンとする番だったけれど言ってることには間違いがないのでこくんと頷いた。

「甘いかと思ったら酸っぱくてさあ」

小野くんの顔が、近づく(睫毛、長い)。
だからさ、みょうじさんも甘い顔した男に気をつけなきゃ駄目だよ、と小野くんが耳元で囁いたと理解したときにはもう、手遅れ。





20100726
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