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しとしとしとしと
雨は降り止むことなく閻魔庁の屋根を叩いて、溜め息を吐いた。

「嫌な天気ですよね」

背後から声を掛けられて驚いて振り向いたら鬼男君が書類束を机に置きながら苦笑していた。自分的にはこっそり溜め息を吐いたつもりだったがしっかりと聞こえてしまったらしい。

「毎年この季節は憂鬱ですよね、なんとなく」
「うん…本当に」

只でさえ明るい職場ではないのにこの季節になると庁内に余計暗鬱とした空気が漂う。死者たちも心なしかこの時期は特に塞ぎ込んでいるように思える。(本当にこの季節って嫌な空気なんだよなあ)

「仕事が一段落したら」

いい加減晴れないかなあなんてぼーっと窓の外を眺めていたら急に鬼男君の声が響いて慌てて部屋の中に意識を戻した。(鬼男君はこんな天気でも相変わらずてきぱきと書類整理をこなしていた)(すごいなあ)

「え、えっと、うん?」
「天国に行きましょう」
「え?」

あそこなら年がら年中晴れてますから気分転換に、ね、と微笑まれたからわたしも微笑んで頷いた。
じめじめとして嫌な天気だけど、この季節って嫌いじゃない。
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