学パロ 恋愛に順番なんて関係ないって言ったのは誰だっけ。あれ、嘘だと思う。勿論順番が全てとは言わないけれど、ある程度関係するのは事実であって。特にそれが義理堅いやつが相手だった場合。 「なあ、俺はどうしたらいいんだよ」 そんなことあたしに聞かないで欲しい。鬼男の視線は真っ直ぐあたしに向いていて、ふたりっきりの教室では逃れる術もなく辛うじて目を逸らすので精一杯だった。なあ、もう一度鬼男が言った。俺はどうしたらいいわけ。 「し、知、らない」 「知らないってなんだよ」 「分かんないもん。あたしに聞かないでよ」 「じゃあなんで好きだなんて言ったんだよ」 なんでってそんなのあたしが聞きたい。(仕方ないじゃんついぽろって出ちゃったんだから) 随分前から鬼男に彼女(それもとびきり可愛い)がいるのは知っていたし、とても仲が良いっていうのも話に聞いていた。鬼男が一本気な性質だってことはうんざりするほどよく分かってる。そしてそんな鬼男があたしに揺らぐことはないってことも。 「俺は、お前が好きだよ」 「…………」 「気が合うし一緒に居て楽しいし。だけど、そういう風には見れない」 はっきりと言われて涙すら出なくて代わりに乾いた自嘲が洩れた。ごめん、なんて謝らないでよ(余計、惨めじゃん馬鹿)。言ってしまって後悔したところでもう遅いのにね。 20100522 花洩 |