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背中越しに小刻みな振動が伝わってくる。しんとした部屋にしゃくりあげる音に混じってときおり洟を啜る音が響いた。俺はどうしていいかわからなくて、ただ必死になまえを慰める言葉を探している。

「まああれだ、長い人生そういうこともあるっつの。逆にそんな男と早めに別れられてよかったじゃねえか」
「わたしオーバのそういうかっこつけた台詞きらい」
「…………」
「無駄に明るいとこもきらい」
「……そうか」
「馬鹿みたいにポジティブなとこもきらい」
「……おう」
「暑苦しいとこもきらい」
「……はい」
「ふざけた髪型もきらい」「……すみません」
「だらしない服装もきらい」
「……ごめんなさい」

きらいだよ、オーバなんか。涙声でなまえが言った。背中を向けているため表情は見えない。(きっとぐちゃぐちゃに泣き腫らしててんだろうなあ)
オーバのね、やさしいところがいちばんきらい、
なまえが呟いたのが聞こえたので振り返って膝にくっついた頭をなでたらだいっきらいと言われて苦笑した。






甘えん坊下手
20100328
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