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「お、おいなまえ!」
「オーバ。なんか用?」
「用っていうか俺その…お前に言いたいことがあって!お、俺、お前が」
「え…?」
「す、す、す、」
「(どきどき)」
「すぴょっ……あ」
「……………」





「…殴ることねーだろ」

オーバは赤くなった頬を擦りながらぶつくさと漏らした。力任せにぶったせいで唇の端にうっすらと血が滲んでいるが、謝る気なんてさらさらない。(だって悪いのはオーバ)

「うるさい。なんであんな大事な場面で噛むわけ」
「仕方ねえじゃん!まじで緊張してて…」
「ぴょってなによぴょって」
「うううるせえな!」
「あんたってその髪型といい服装といいなんでそうキまらないわけ」
「アフロはキまってんだろ!」
「うるさい爆発頭」
「お前っ…それひどい」

うるさい口にぐりぐりと消毒液を押しつけたら苦いと派手なリアクションをしやがったのでまた腹が立った。消毒してやってるんだから感謝しやがれ。(怪我させたのあたしだけど)

「なまえもうちょっとやさしく…」
「はあ?」
「…すいません」
「ちゃんと言ってよ」
「へ?」
「噛まずに」
「お、おう」

オーバは真面目くさった顔をして息を吸い込んだ。あたしも緊張して姿勢を正す。

「俺はお前のことが、」
「(どきどき)」
「す、すきょっ……あ…」
「……………」
「ちょっ…グーはやめろグーは!」






キまらない男
20100328
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