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こっちが勇気を振り絞って一世一代の告白をしたというのに、腹立たしい同級生は一拍おいて噴き出した。

「な、なんだよなにがおかしいんだよ」
「だって『俺、おまえに告白したいことがあるんだ』なんて言うからなにかと思ったら」

俺じつは狼男なんだ、って!あまり上手くない声真似をするみょうじはまだ肩を震わせている。たしかににわかに信じられる話でないことくらい自覚しているが、なにもそこまで笑うことないじゃないか。(親友といい同級生といい、なんで俺の周りはこんなのばっかりなんだ)
ふたりっきりの教室でひとり悶々としていると、ちょっと期待したのに、みょうじの唇から思いがけない言葉が零れて、え、と顔を上げた。意味を追求しようと口を開きかけたが脱線しそうなのでやめた。
とにかく!俺は狼男なの、まじで!力を込めて言っても嘘くさいと一蹴された。

「嘘くさいっておまえ…いやまあそうだけど、でもこんなに言ってんのに」
「だあってさ、藤田って人畜無害って感じだし」
「じんちくむがい…」

肉食っていうより草食系?、みょうじはからからと愉快そうに笑った。ちょっと情けなくなる。(草食系って言われる狼男ってどうなんだ)

「ねえ藤田」
「…なんだよ」
「あ、傷ついた?」
「……ちょっとな」
「ごめんごめん。許して信じるから」
「、え」
「そのかわり、」

何を思ったかみょうじがいきなりするりとスカートを捲り上げた。真っ白い太股が露になる。あわてて目を逸らしたらみょうじが艶を含んだ声で囁いた。
藤田がここで証明してくれたらね、
夕焼けに照らされたみょうじは妙に色っぽくて、薄い唇から誘うように覗く少し尖った歯にごくりと喉が鳴った。どうやら俺は狼男である以前に健全な男子高生なようだ。






赤ずきんの誘惑
20100326
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