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あんまり空が綺麗な夜だったから、星が綺麗だねなんて柄にもないことを言ってみた。ノマルくんは寒い台詞を笑い飛ばしたりなんかしないで、ああそうだなと相槌を打ってくれる。ノマルくんのこういうところがわたしはすきだ。こんな夜ってなんか出そうじゃない?、なんかって?、たとえばほら、幽霊とか、冗談で言ったら馬鹿、やめろと小突かれた。怖さからだろうか、足早になったノマルくんをごめんなさい、とけらけら笑いながら追いかける。こういう瞬間しあわせだなあと感じる。ノマルくんは十歩ほど先に行って振り返った。怖がらせてもほらやっぱり待っててくれる。ノマルくんはやさしい。

「しあわせ者だよねわたしって」
「なんの話だよ」
「いやね、しあわせを噛み締めてるところ」
「なんだそりゃ」

年寄りくせー、呆れたように笑うノマルくんを見ながらやっぱりしあわせだなあと思った。






星屑を抱きしめる
20100310
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