倉庫 | ナノ





暗がりの下で見る彼女は死人のように白かった。苦し気に喘ぐ度に上下する喉が、蛙を連想させて気味が悪い。一度は愛した女性であるはずなのに、不思議なことに愛しい気持ちは感じなかった。それでもやはり雄の本能か、愛しいとも美しいとも想えない目前に横たわる肉塊に哀しくも欲情しているらしかった。欲情は彼女の白い肌に紅を散らし、それは滑稽でしかない自嘲をもたらした。所詮、僕は卑しい狗畜生でしかないのだ。己の欲望が趣く儘に、同情すら厭う女を抱けるような。曽良さん、彼女は甘やかな声で僕の名を呼んだ。(媚びるような響きが耳障りだ)愛してます、彼女は温度のない腕を僕の首に回した。愛してます、僕はなにも答えず欲望の淵に指を沈めた。






哀れ、憐れ、ああ空しい
20100309 noise
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -