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妹子またふられたんだって?、登校するなりにやにや笑いながら尋ねてくるのは悪友のなまえだ。(いつもながら情報がはやい)
馬鹿だねー、顔だけの女ばっか好きになるからそうなるんだよ、なまえだって人のこととやかく言える性格じゃないじゃないかという喉まででかかった言葉は後が恐いので呑み込んだ。

「ま、結局妹子の見る目がないんだよね。自業自得ってやつ?」
「…うるさいな」
「馬鹿だよねえ、絶対女に幻想抱いてるタイプでしょ」
「だからうるさいってば」

あ、怒ったーとかけらけら笑うなまえに本気で苛立った。僕が女の子を殴らない主義じゃなかったら今すぐにでもなまえを殴ってやりたいところだ。(万一そんなことをしたらすぐに誇張されて吹聴されるのは目に見えているので我慢するが)
なまえはひとしきり笑うと気が済んだのか、座り直して身を乗り出した。

「ところで馬鹿で可哀想な妹子に素敵な提案があります」
「…なんだよ」

どうせ僕を慰める会と称してファミレスでもたかるつもりだろうと考えていたら、あたしが付き合ってあげてもいいよ、という予想外の言葉にぽかんと口が開いた。

「すっごいアホ面」
「いやだって、え、なん、」
「顔も性格もいいなまえちゃんが付き合ってあげるって言ってるんだからもっと喜びなよ」

どこが性格がいいんだ暴君め、と思ったけれど情けないことに振られたばかりの傷心の僕の心臓はぐらぐらとなまえに揺れている。早まるなと必死で自分に言い聞かせたところでもはや制御なんかできない意志の弱い僕である。






君に優しさを望んでしまっている僕はどうやらどうかしてしまったようだ
20100308 mutti
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