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現代





今から付き合え、
偉そうなのはいつものことで、どうせまたペットショップかどこかへだろうと思ったわたしは気楽にいいよ、と返事をした。
太子はいやに嬉しそうに顔をほころばせたかと思うと、じゃあそうだな、大通りにでも行くかとわたしの手を掴んで歩きだした。(ちょっとぬるぬるする)

「なに太子、大通りのほう行くの珍しいね」
「いやだってあれ、妹子に聞いたらペットショップより大通り行くほうがいいっていうから」
「?、ふうん」

そりゃペットショップで子犬の前に何時間も貼りつくよりぜんぜんいいけれど。
まだこのときわたしは小野くん気が利くなあ、くらいにしか考えてなかったわけで、太子がアイスクリームショップを指差して「あ、あれ食べよう」と言ったときもやっぱり珍しいなあとかしか思わなかった。

「ほらなまえなまえ、食べてみんしゃい」
「えー…ていうかなんかそれ黄土色なんだけど…なに?」
「カレー」
「うっわそんなのあるんだ!」
「一口やるからなまえのも」
「え…なんていうか…それ恋人っぽくない?」
「?なんだいまさら」

私達付き合ってるじゃないか、と平然とした顔で太子が言い放ったときにやっとわたしは勘違いに気づいた。待って待って、だってあれはと弁解しようとしたところでもう遅い。わたしはすでに太子にうっかりときめきはじめている。






はやとちりなのにもうおそい
20100306 mutti
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