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つまりさあ、君ってば世界一の幸せ者だよ、彼の言葉が呑み込めず、ああ、ええと、そうなんですかと適当な相槌を打つ。
彼は青灰色の髪を左右に振りながら「もちろん!決まってるだろう?」と自信たっぷりに言い放った。

「だって見てごらんよ。なかなかいないだろ、こんな類稀なる美形」
「え…はあ、そうですね」
「ああ紹介が遅れたね、僕はチャンピオンのツワブキダイゴさ!」

もちろん知っているよね?、ええそりゃ知ってますとも存じ上げておりますとも。しかしわたしの彼への認識はすでに"ちょっとかなり変な人"になってしまっており、いまさらチャンピオン兼ツワブキカンパニー御曹司という豪華すぎる肩書きを持ち出されたところで、もはや彼に対する尊敬の念を呼び起こすことはできなかった。(最初に言ってくれたらよかったのに)だって道行くお兄さんにいきなり「君は世界一の幸せ者だよ!」なんて言われて(そのお兄さんがどんなにかっこよくとも)不審を抱かない乙女がいようか。
しかしチャンピオンで御曹司な彼は目の前の美少女が不審を抱いているなんて微塵も思わないらしい。

「君はとってもラッキーガールさ!この僕に一目惚れされるなんてね!」

うんうんと一人頷く彼に、とりあえず異議を唱えたい。






アンラッキーガール
20100225
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