倉庫 | ナノ


彼の瞳は赤い。その赤い瞳といい、白い肌といい、思わず兎を連想してしまう。
閻魔、小さな、ほんとに小さな声で呼んだのに、彼はしっかり振り向いてわたしの瞳を捉えた。「なに、なまえ」「なんでもない」呼んでみただけ、言えば閻魔はなにそれと笑った。「なんか恋人っぽい」「そうかな」「うん。実はちょっとどきっとした」「ほんと?なんかわたしもどきどきしてきた」ふたりで笑う。「ね、なまえ」「ん、なあに閻魔」「あのね」「うん」ちゅーしていい?、閻魔が言った。「駄目って言ったら?」「死んでやる」「へえ」「嘘だけど」「だと思った」えへ、閻魔が笑う。つられてわたしも笑った。「まあいいよ」「ほんと?」「うん」「じゃあお言葉に甘えて」触れるだけの軽いキス。どちらかというと唇より鼻をくっつけるかんじ。ほんとうに兎みたいだ。
青白い首筋に顔を埋め、肩を抱いてみると思った以上に細くて折れてしまうんじゃないかと思った。
案外このひと、ひとりにしたらほんとに死んじゃうんじゃないだろうか。







寂しがり屋のガネット
20100223
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -