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まずいと、思った。自分で他人と姿が違うことくらい自覚している。だから、私の姿をみたこの小さな女の子は泣いてしまうと思った。けれども彼女はまんまるな瞳で興味深気に私の後頭部をみつめた。

「おにいさん、お魚さんなの?」
「いいや。魚ではないな」
「じゃあ人間?」
「…それもどうかな」

苦笑いをして答えた私に、ふうん、と相槌を打って彼女は私の後頭部におそるおそるその小さな手をのばした。

「触っても、いい?」
「ああ…構わないよ」

彼女が触りやすいように近づいてやる。

「わあすごい、本物?」
「もちろん」
「すべすべしてる」

くすぐったそうに彼女は笑った。笑顔のとても可愛い子だと思った。

「怖くないのか」
「ううん、なんで? おにいさん、怖い人なの?」
「いや…少なくとも君を攫ったり、暴力をしたりはしないな」
「じゃあちっとも怖くないよ」

綺麗、彼女は顔いっぱいで笑って言った。おにいさんの鱗がね、きらきら光ってとっても綺麗なんだよ。





太陽のようにきらきらと笑う少女

(眩しいな、君の笑顔もとても綺麗だ)
20100223
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