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!黒竹中注意



すきだと告白すると、竹中さんは笑い出した。心底可笑しくて堪らないといった調子で、笑った。

「私が好きだって? どこがだい?」

全部と答えたら、おどけたように全部!と繰り返された。

「滑稽だな。なまえはわたしの全てを知った気でいるのかい」

嘲るような調子で言うその人に、私の知った竹中さんはいなかった。だって竹中さんは優しくて、かっこよくて、紳士で爽やかで、とにかく優しくて、(ああでもこれはただの私の幻想なのだろうか)

「人間というのは実に愚かだな。少し甘い顔をしただけでここまで見事に騙されるとは。傑作だ」
「…竹中さん、は」
「ん?」
「竹中さんはそんなこと言わない、よ…」

なんとか消え入りそうな声を絞り出して言うと、竹中さんは碧い瞳を三日月に細め、形のいい唇の端を歪めた。(やめてよそんな顔、しないで)

「なまえの言っているのは紳士的で少し抜けていて、馬鹿みたいにへらへら笑う誰にでも優しい私のことかい?」




お伽噺の終焉

(目の前のこの人は、誰?)
20100223
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