ゲロ甘い | ナノ
源田と桃原が付き合ってから一週間が経った。二人は俺から見てもわかるぐらいのバカップルだ。人前でいちゃつくわ、そのわりにはキスもできなくて騒ぐわでうるさい。見てるこっちが恥ずかしいぐらいだ。そして桃原はこの俺、鬼道有人に源田とのことをよく話してくる。俺に話してどうなるんだという話だが、桃原は聞いてもらうだけでいいと言っていた。気持ちはわからんでもないのだが、聞かされるこっちの身になって欲しいと思う。今日は源田くんがかっこよかった、今日は源田くんが可愛かった云々な話を聞かされてもなんてリアクションすればいいのかわからない。この前キスしないのか、とか聞いたら大慌てだった。面白かったので聞いてみろ、とからかったのだが失敗だった。今日になってあいつをからかったツケが回ってきたようだ。
「聞いて鬼道くんあのね、聞いてみたんだよ!源田くんに!」
「はあ、そうか」
「そしたらね、源田くん、まだ早いよって照れてね、それがもう、すっごく可愛くて!」
「ああよかったな」
「それでね、源田くんってば、ほっぺにちゅーしてくれたのっ!」
「…そうか」
前に比べたら成長したとは思ったがだからといってこいつらのゲロ甘さが消えた訳ではない。桃原の目はきらきらと輝いて、その姿はまさしく"恋する乙女"だった。聞こえは良いがこっちからみればやはり目障りなバカップルにしか見えない。
「あっ源田くーん!」
「おはよう未来」
「源田くん、前髪はねてるよ?もうっ、自分の身の回りのことぐらいちゃんとしなよ?可愛いから良いけど」
「あ、本当だ。でも結婚したら未来がそういうことをしてくれるんだろ?」
「もぉ、気が早いよ。あ、でも結婚は絶対しようね!」
「はは、なんなら今からプロポーズでもするか?」
「それ最高!もう源田くん大好きっ」
「お前らもう帰れ!」