ロストガール | ナノ


「はじめまして。桃原蒼二です。よろしくお願いします」



なんて典型的な挨拶をして指定された席についた。席につくと女子の話し声が聞こえてきた。

「かっこいい」
「女の子みたい!」
「可愛いね」
「中性的ー」

元が女だけあって中性的というのは隠せない。完全に男として見られるのは無理だと知っていたのでこういう声があがるのは覚悟していた。「え?あれ男の子なの?」……何人かはわからなかったようだけど。しばらくしてチャイムがなって先生が出ていくと、急に教室が騒がしくなった。すると何人かの女子が机の前に群がってきた。あれだ。転校生によくある質問攻め。女子達はそれぞれ自己紹介をすると(あまり覚えていない)さっそく質問をしてきた。



「彼女いる?」

「いないよ」

「ねぇ、桃原くんってサッカー部入りに来たんでしょ?じゃあ強いんだ」

「まあまあかな」



適当に返事をして早くどっか行ってくんないかなあと思っているとチャイムが鳴った。女子達は残念そうにバイバイと言うとそれぞれの席に戻って行った。良かった。これで静かになった。それからすぐ先生が来て授業が始まった。前にいた学校とそんなに変わらないところの授業で、なんとかついていけた。とりあえず今日一日はなんとかなりそうだ。



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