ロストガール | ナノ


源田にばれたことを桃原に言うべきだろうか。いやまだばれたと断定出来る訳ではないし、もし桃原に言ったとしても、桃原がボロを出さないと言えるだろうか。正直そうは思わない。かなり慌てそうだ。言わなくても手にとるようにわかった。だがともかく、こいつが警戒心をもった方がいいことは確かだ。だから俺は注意だけした。警戒心をもっと持て、と。


「警戒心?なんで?」
「…ばれないように注意をはらえ、ってことだ」


もうばれていることを隠しながら俺は言った。桃原はちんぷんかんぷんみたいな顔をしていたが、休み時間が終わるチャイムが鳴ったので俺は颯爽と席に着いた。





警戒心を持てと言われた。んな事言われたって、一体何に。ばれないように注意をはらえと。ばれてないんだからいいんじゃないか。思ったが鬼道はもう席に着いてしまっていて、どうすることも出来ずに私は黙って席に着いた。まあ、いいっか。気にしなくても。





さっきから桃原のことで頭がいっぱいだ。鬼道に遠回しに相談したら言わない方がいいと言われた。さすが鬼道だ。佐久間の数倍は役に立つアドバイスをくれる。だがいくら役に立つアドバイスでも俺の頭から桃原のことが消える訳でもなく。桃原が女。よくよく考えてみたら、今までそうとは気づかずにものすごいことをしてきたと思う。ストレッチする時に体押し付けて(誤解を生むようだが、体を押し付けてしまうのはストレッチとしてしょうがない訳であって別に下心はなにもないぞ!)ストレッチしたり、…ってあれ?俺桃原と背中に胸を押し付けて体倒しながら足の筋肉伸ばすストレッチをした覚えがあるん…だが…。爆発しそうだ。他にも間接キスとか体密着させたりしてたし…なんてことだ。授業そっちのけで考えていると先生に当てられた。「えっ」馬鹿した。



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