ロストガール | ナノ




「マジか」

「マジだ」



今日はあの賭けをして一週間近く経った日、5教科のテストがみんな返ってきた。私の点数は意外と良くて、おおこれいけるんじゃね?とか思って自身ありげにしていたら、なんとありえないことに私が最下位だったのだ。一位は源田。まあこれは許せる。ただ許せないのは佐久間が私より上ということだ。佐久間が私より上?意味がわからない。だって佐久間ってば源田の家でもぐだぐたでマンガばっか読んでたくせに5教科合計が455点ってお前。なんなんだよ。化け物か怪物かなんかか。ちなみに源田が482点、411点だった。私が400点超えるなんて快挙は久しぶりだったので油断していた。でもまあ、罰ゲームが軽くて良かった。源田にアイスを奢るだけだ。それにしても、佐久間が鬼道の机に「妹命」と彫るのが楽しみだ。今佐久間はこの後に待ち構える罰ゲームに泣きそうな顔をしていた。



「あーそれにしても良かった。源田が勝ってくれて。あ、佐久間頑張れー!」

「最悪だ…」

「カッターあるよ佐久間。貸してあげる」

「要らねー…!」



私がカッターを貸すと佐久間は嫌々受け取って深いため息をついた。ちょっと可哀想に思えてきたが、まあ罰ゲームだし。頑張れ佐久間!



「あ、源田。今日の帰りでいい?アイス」

「ああ。構わない」

「じゃあ今日一緒に帰ろうか」

「えっ」



…「えっ」ってなんだ「えっ」って。そんなに私と帰るの嫌か。私が聞くと、「いやいやいや違うぞ違う」と全力で否定された。何なんだ。



「あ、さ、佐久間。今日の放課後に彫れよ」

「今日ぉ!?うっそだろマジで!?」

「そうだよ。丁度今日部活ないし」

「行ってこい佐久間。勇者になれ」

「勇者になんかなりたくねぇよ!!」

「あ、文字はでかくしろよ。ちっさいとつまんないから」

「せめて4、5pでな」

「嫌だああああああああああああ」



多分明日の朝に鬼道が気づいて佐久間は鬼道に殴られるだろう。いや殴られるだけじゃ済まされないだろうな。多分部活の時に無駄に佐久間だけ多く走らされるとか、まあ色々されるだろうな。佐久間は鬼道を良く知ってるからそれもわかりきっているだろう。わかりきっていながらやらなきゃいけないというのは泣きたいとかのレベルじゃじゃ済まされない。死にたいぐらいのレベルだ。



「あー…でも桃原が勝たなくて良かったよな源田」

「なんでだ?」

「お前忘れたのかよ。お前が勝ったら俺は鬼道のマント剥ぎ取って、源田が鬼道の机の中にエロ本を入れるハメになってたんだぞ

「………………うん、それは嫌だ」



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