ロストガール | ナノ


めんどくさい合宿がようやく終わった。この合宿で鬼道に秘密がバレてしまったが、まあ鬼道だから誰に言うとかはないだろうから、とりあえず今は一安心だ。四日ぶりの教室に入ると、少し違和感を感じた。なんだろうか。不審に思って良く良く観察してみると、原因がわかった。この朝の時間はみんなざわめいたりなんだりと自分勝手な行動をしているのだが、今のみんなはおかしい。机に向かってガリガリと何か書いている。見てくれは勉強しているように見えるのだが、うちのクラスがそんなことをするとは思えない。いやする可能性はひとつだけだがある。いやでも、その可能性がもしもあたっていたら私が困る。私は教室内あるカレンダーをおそるおそる見た。「げっ」そして思い切り顔をしかめた。教室のカレンダーには、今日から三日後の日付に赤丸がついていた。そしてその下にはこう書いてあった。


期末試験一日目


その文は私にとって難解かつ理解しがたいものだった。意味不だ。こっちは長い合宿を終えて疲れきっているというのに期末試験ってなんだ。私が唖然としていると後ろから源田が「どうした?」と聞いてきた。



「源田…期末試験って三日後なの知ってた?」

「知ってるけど…それが?」

「…………昨日まで」

「えっ」

「昨日まで合宿で疲れてるってのに意味わかんねえ!なんだよ期末って!しかも三日前ってなんだよ!部活で勉強する暇ねぇよ!」



口にはだしていないが鬼道に秘密がバレたし最近運が無さすぎる。期末ってなんだ期末って。教員の野郎帝国サッカー部の多忙さを知りながらこんなカリキュラムにしやがって俺は頭良くないんだぞ!苛立った私の言葉に源田は「ええええええ」なんて言ってうろたえている。まあいきなり叫び始めたらそうもなるか。



「…源田勉強した?」

「えっ?あっ、まあそこそこには」

「…なんでみんなそんな勉強してるんだ。ていうか期末なんて初耳だし勉強してないし」



効果音付けるならがーん、って感じだろう。ていうかあれじゃん。帝国ってみんなレベル高いんじゃないか。私バカなんだけど。頭良い中で私のバカさがさらに目立つじゃないか。最悪だ。私が壁に手をつけて落ち込んでいると、源田が「ええと」と少し慌てた様子で私の肩に手を置いてきた。



「お、教えようか。勉強」






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