ロストガール | ナノ



来てしまった。太陽が明るくさんさんと輝いていて、いつもより気温が少し高い。だがサッカーをするには大した影響はあたえないぐらいの気温。つまり絶好のサッカー日和だ。私が今いるのは合宿先だった。そう、来てしまったのだ。合宿に。総師に合宿のことを聞くとなんとかするから安心しろとか云々言われた。なんとかするってどうやってだ。



「おー!天気超いいじゃん!」

「眩しいな」



佐久間と源田が私に続いてバスから降りてきた。私の様子を見て佐久間が心配したのか「桃原どうした?」と聞いてきた。どうしたもこうしたもない。お先真っ暗だバカヤロー!





まだみんなほどじゃないけど前よりは体力がついた。だけど合宿での訓練は私の体力なんかじゃ追いつかないぐらいひどかった。私たちは合宿先の坂で走りに走らされ、究極まで体力を使い果たしたと思ったら次はトレーニング、とまるで地獄のような訓練をこなした。そこから少しの休憩がはいり、体力が少し回復したところでようやく本格的なサッカーの練習にはいった。その練習もいつもより数倍辛くて、終わったころにはみんなもうボロボロだった。



「なっ…なんでこんなハードなんだよっ…」

「知るかっ…試合前はっ、いつもこんなもんなんだよっ」



佐久間が息をきらせながら言った。私より体力のある佐久間でもこれはしんどいらしい。見れば源田も成神も辺見も、さすがの鬼道も辛そうにしている。しばらく経って、息も整ったころ。すっかり元気になった佐久間が言った。



「あー早く風呂入りてぇな!」

「!あ、ああ…」



私は嫌なんだが。私が視線をあさっての方向に向けると佐久間の怪訝そうな視線を感じた。というか風呂どうすんだよ総師!こんだけ汗びっしょりで入らないなんて絶好嫌だし、かと言って佐久間達と一緒に入るなんてそれも無理だ。考えているとふと、背中に視線を感じた。誰だろうか。振り向くと源田と目がばっちりあった。私が首をかしげると源田は慌てたように視線をずらした。何かあったのだろうか。「みんな集合しろ!」鬼道に言われてみんなが集まっていく。私は笑って源田に言った。


「行こう!」





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