ロストガール | ナノ



「が、合宿ぅ?」

「明後日からだ。詳しいことは明日連絡する」



学校に来てすぐ、私は鬼道に合宿という報告を受けた。合宿。つまり皆で同じ屋根の下で暮らし、泊まるということだ。それは男装している私にとってかなりまずい状況になる。私が男装していると知っていながら総師はいったい何を考えているんだろう。バレたらやめる。総師も同意した、そういう契約だったはずだから総師もちゃんとわかっているはずだ。なのに合宿ってどういうことだ。後で文句言ってやる、とか内心で思いながら今をどうするか考えた。とりあえず今は同意しといて、後から総師に言っておけばいいか。考えなくて駄目だったら行かなきゃいいし。



「あー、わかった」

「後、とりあえずは二泊三日だということだ。三泊に変更もあり得るから配慮しておけ」

「了解」

「…それと」

「なに?」

「……いや、なんでもない」



鬼道はふいと顔を背けると自分の席についてしまった。何か言いかけたが、なんなのだろうか。まさかまだ疑ってるとか?私が考えこんでいると、「桃原桃原〜」と、佐久間がやってきた。



「なに?」

「聞いたか?今度の合宿!」

「ああ、聞いたよ」

「なんか露天風呂とかあるんだってよ!」

「ろ、露天風呂……」

「あとさあ、源田が」

「うわっ!やめろ佐久間!」



佐久間が話そうとしていたら後ろから源田がタックルをしてきた(まさかあの源田がそんなことすると思わなくてびっくりした)。佐久間はなにすんだよ!とか叫んで源田とぎゃあぎゃあ言っていた。「だから言うなって言ったろ!」「いいじゃんただの確認だろ確認」なにが確認なのか知らないがまさか源田がタックルなんて荒業を使うと思わなかった。私はその日源田の本気を見た気がした。




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