豪炎寺小説 | ナノ
「豪炎寺?」
「ああ!俺のチームの奴なんだ」
私の幼馴染み、円堂守と一緒に帰っている途中、守が「豪炎寺が風邪をひいたらしいからお見舞いに行きたい」と言い出した。豪炎寺って誰。私がそう聞くと守はチームのメンバーだと言ってきた。ああそういえばいたかも。ツンツンした頭のあの子。豪炎寺くんって言うんだ。確か私とクラスは一緒だった気がするけど私は彼と話す機会など皆無だったし興味もなかったから名前なんて忘れてた。
「それってまさか私も一緒に行くとか?」
「駄目か?」
「だって私豪炎寺知らないし」
私がそう言うとついて来るだけで良いから、とねだってきた。おねだりとは見事に私のツボをとらえている。だから私は守に弱いのだ。おねだりなんかされたら断るなんてことは絶対にできない。という訳で私は守とその豪炎寺とやらの所にお見舞いに行くハメになり、私たちは豪炎寺の家に行った。守がインターホンを押し、おとないをいれるととっても不機嫌そうな低い声で「入れ」との返事があった。こえーよ豪炎寺。あいたくねーよ豪炎寺。中に入ると部屋着を着た豪炎寺が私たちを迎えてくれた(でもやっぱり不機嫌そうに眉間にシワを寄せていた)。彼は守をちらりと見たが、私を見てさらに眉間にシワを寄せて言った。
「……桃原?」
あれ、豪炎寺って私の名前知ってんだ。