「あ、守」
学校が終わって家に帰ろうと下駄箱で靴を履き替えていると、幼馴染みである円堂守が現れた。部活帰りなのか薄汚れたジャージを着ていて、守は私を見て「おっ」と声をあげた。
「部活帰り?」
「ああ。一緒に帰るか?」
「帰る帰るー」
靴を履き替えて、校門を出ると守が未来ん家行っていいか?と聞いてきた。守はよく私の家に来る。それは私の家がケーキ屋だからで、守は昔からケーキ目当てで私の家に来るのだ。
「別にいいけど…よく太らないね守」
「おう!食った分だけ運動してるからな」
主にサッカーで。守はそう付け足して行った。私は彼の運動は"主にサッカー"ではなく"全てサッカー"だと思う。だって守がサッカー以外のスポーツやってるの見たことないし。
「あ、そうだ。その前に行きたい所あるんだけどよ。行っていいか?」
「どこ?」
「豪炎寺の家」
聞いたことのない名前に私は頭をフル回転させて記憶の中から「豪炎寺」という名前を探したが全く記憶になかった。豪炎寺、誰だっけ。