リハビリ | ナノ
なんで私エドに抱きしめられてるの?温もりを感じながら私は混乱する頭で思考した。ああ、なんで、なんでこれ。正直泣きそうだ。私はずっと、ずっとずっと前からエドが好きだった。あの真っ直ぐで優しくて、人間らしくって、突っ掛かりやすい、エドワードが。だけどきっとエドはウィンリィが好きで、ウィンリィもエドが好きだと思ってていた。だから私の入る隙なんてないって、ずっと思ってた。苦しいけど、仕方ないことなんだって。だから諦めるって決めた。諦めて、二人が幸せになるのを見ておこうと。
だけど、どうして、どうしてこんなふうに、私を引き止めようとするの。どうしてあなたを諦めたい私の邪魔をするの。中途半端な気持ちで抱きしめたりして、責任とってくれるの。だけど私はとってくれないってわかってる。
じわりと視界が歪む。袖口で拭こうにも腕ごと抱きしめられてるから拭けない。私は震える声でエドの名前を呼んだ。


「…な、なにしてんのエド」
「……」
「あ、あのさ、エド。放してくんない?」
「……」
「ウィンリィとかに見られたら困るでしょ。誤解とかされるよ」
「……」
「エド?」
「…約束してくれないか」
「え?」
「お前、今ホークアイ中尉のとこに世話なってんだろ」
「あ、うん。住まわせてもらってるけど…」
「約束しろ。絶対最後まで生き延びるって」
「い、言われなくてもするよ」
「それでさ、全部、全部終わったら、」
「…終わったら、なに?」
「リゼンブールに行って、新しく家、建てるからさ、一緒に住んでくれないか」
「ええ?この前行ったばっかなのに…て…ていうか家建てるって…わ、私、ウィンリィの家に住まわせてもらえばそれで…」
「……」
「…ええと、エド?」
「お前ほんとバカだな」
「はあ?」
「バカだ。バカすぎるバカだ。というか鈍い」
「な、なに、いきなり」


私を抱きしめるエドの腕に力がこもる。「意味、わかんないならウィンリィにでも聞け。大佐には言うなようるさいから」そう言うとエドは私をぱっと放して部屋を出て行った。私はそのあとエドの言葉の真意をウィンリィに聞いて嬉しさと驚きがごちゃまぜになって焦りまくったのは言うまでもない。





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ベタな設定で書きたかった
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