リハビリ | ナノ
※もしTOAのマルクトの女騎士がTOVにトリップしたらという妄想




ぐえ、と自分の声とは思えないひしゃげた蛙みたいな声が出た。したたかに打った背中と頭が少し痛い。何故こうなったかというと、私も不思議だが多分、"落ちた"のだ。いや、一概にそう言うと聞こえが悪いが、多分そうだと思う。私は確か、陛下魔物排除の命でレムの塔付近に来ていたのだ。興味本位で塔に入った途端、踏み入れた足元にあったはずの地面がなくなった。もう片方の足で支えようとしたらそっちの足元の地面もなくなったらしく、次の瞬間には内蔵が浮くような感じがして、浮遊感が私を襲っていた。思わず悲鳴をあげる。そうして私は―――落ちたのだ。
うめき声をあげながら体を起こした。どうやら低い所から落ちたらしく骨折とかはしてないようだった。ただ頭と背中が痛い。頭痛を抑えながら辺りを見渡す。フィールド…のようだが見たことのない場所だ。もしかしてキムラスカ?だったら来たことがないからつじつまは合うが、一体なんだってこんなところにいるんだ?
眉をひそめながらうめいていると、ふと影が落ちた。後ろを向くと、すぐ近くに人がいることに気づく。逆光でよく見えないが、長い髪の毛だけが確認出来た。女の人?だがすぐに目が慣れてきて、顔立ち、体つきで女ではなく男だということがわかった。細身で髪が長いが女々しさを感じない、男前でなかなかの美青年だ。

「…立てるか?」
「あ、ああどうも」

手を差し出してくれたので素直に手を取り立ち上がる。どうやら悪い人ではなさそうだ。青年は私を立ち上がらせると、眉をひそめながら言い放つように言った。

「あんた、空から降ってきたけど、天使かなんかか?」
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