小説 | ナノ
ひゅんと音がして私ははっとした。すぐに私はしゃがんだ。上に視線を向けるとハルバードの刃と柄が見えたので手を延ばして柄を掴むと思い切り前の壁に向かってぶん投げた。

「ぬおおおおっ」

低い叫び声が聞こえた。そしてハルバードとともに私にハルバードを突き刺そうとした野田は壁に背中から激突した。私はぜえぜえと肩で息をしながら野田を睨みつけた。


「なにをするか貴様ぁ!」
「こっちのセリフじゃボケぇええ!私を見かけるたびに攻撃しやがって殺す気かお前は!」
「死なんだろうが!馬鹿か貴様!」
「言葉の文じゃアホ!」


奴の名は野田。私の悪友(?)である。野田が何故私を攻撃したかというと、この世界に私がやってきた時に私を最初に見つけたのが野田だったせいである。私を最初に見かけた野田は俺が最初に見かけたから俺が鍛えてやるとか言い出し、学校に連れて来てからというもの私を散々鍛えた。しまいには、いつ天使から攻撃されても反応出来るように不意打ちしてやると宣言し始めた。アホだと思ったがあの野田だ。本気でやり始めたのだ。


「なにを戯れ言を。貴様の為にやってやったというのに!」
「見かけるたびに不意打ちしかけることのどこが私の為だアホ!」
「普段からの努力が大切なのだ。最初に教えただろう」
「だからってやりすぎだ野田のアホ死んでこい」
「なんだと!貴様人の親切を踏みにじる気か!」


どこが親切だアホ!とまた私が言い返し始め、私たちの口喧嘩がまた始まった。近くにいた音無くんと日向くんがアホだとか言って頭を抱えている。口喧嘩ならまだ良い方だ。ひどい時には武器をそれぞれ持って体育館で決闘をした。制服が破けてぼろぼろになって、野田に下着を見られそれすらも馬鹿にされたのを覚えている。そしてついに爆薬を持ち出した私と野田に容赦ないゆりの鉄拳が下ったのは言うまでもないだろう(ちなみに下着が見えた時止めに来た大山くんの顔が真っ赤だったのもよく覚えている。ものすごいかわいかった)。体育館が半壊してゆりにその後もものすごい怒られた。そしてまた私と野田の口喧嘩が始まったのだから、日向くんと音無くんが頭を抱えるのは当たり前だと思う。多分ゆりに言われてるから止めなきゃいけないんだろうが、嫌なのだろう。横目でちらりと見てみるとジャンケンをしていた。ジャンケンで多分どっちが私たちを止めるか決めているらしい。ちなみにやはり私と野田はその間にもぎゃーぎゃーと口喧嘩していたが、私の何回攻撃すれば気が済むんじゃボケぇ!という言葉にふと野田が一瞬黙った。


「…ふっ。まあ確かにお前は俺の攻撃に反応できるようになった」
「じゃあもう攻撃すんのやめてくれ」
「だが!貴様にはまだ甘いとこがある!」


じゃきんと野田はハルバードの刃を私に向けた。私は野田を睨むと、背中に装着してある刀の柄に手をかけた。前までは武器を常備なんて物騒なことはしていなかったのだが、野田の馬鹿が攻撃してくるので常備するようになったのだ。


「なんだよ甘い所って!」
「それはまた今度だ。そしてお前がそれを乗り越えられたら資格をくれてやろう!楽しみに待っているんだな!」


ハハハハハハ!と悪趣味な笑い声を上げて野田は私から離れて行った。アホだ、という日向くんのツッコミに私は大いに賛成した。ていうか資格ってなに。




となりの怪人くん






野田シリーズ。続きます。


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