小説 | ナノ
ほんとに俺はもうこの荒川で生きなきゃいけないのか、と行もといリクルートは心の中で呟いた。エリートである自分が、こんな河川敷に家を建てて生きていけだと?無理な話だ。つきすぎてもう何度目になるかもわからないため息をリクはついた。すると村長(河童の着ぐるみを来た人間)がまだ会ってない奴に会って来いとか言い出した。どうも他にも村人(ホームレス)がいるらしい。
「JKに会ってないだろ。あいつの家近いし会って来いよ」
「JK?」
JKと言われてリクは外人さんか?と思った。これ以上変人と電波が増えるのは嫌な気がしたが、JKの家に行かなくて皆に避難される方が怖い気がしたので行くことにした。ニノもついて来てくれるようで頼もしかった。
少し歩いたところにJKの家はあった。JKの家はタイヤが四つともぺちゃんこに潰れた車をそのまま使ってる家だった。黒い大きめの家で、人一人住むには充分な気がした。言わずもがなニノの家より数倍良かったと思ってしまったのは死んでも口に出さない。
「おいJK、いるか」
ニノが車のミラーにぶら下げてあるこまっちいベルをチリンチリンと鳴らした。ああ、上手く出来ているな、俺の家にもインターホンつけようかなと思ってしまった自分はまう荒川村(勝手に命名)の住人になりつつあるのだろうか。するとがらっと車のドアが開いた。そして出てきた人を見てリクは思わず絶句した。
「ん?ニノじゃんどうしたの……ってあれ?もしかして新人のリクルートくん?わーはじめましてはじめまして!私の名前聞いた?まあ一応言っとくけど私はJK。JでもKでも好きなように呼んでねー。あ、そうだ、リクルートくんって呼びにくいからリクでいい?あ、そういえば家は?もしかしてニノさんのとこに泊まるの?わーさすが恋人同士だねー…ってあれ?黙っちゃってどうしたの?もしもし?大丈夫?」
リクは目の前に現れた饒舌なるセーラー服の少女に、もはや何もツッコめなかった。
おしゃべりセーラー服