小説 | ナノ
俺が頭を下げると、豪炎寺は困ったように頭をかいた。頼む。お前しかいないんだよ!何故俺が豪炎寺に頭を下げているのかというと、それは数時間前にさかのぼる。試合が日曜日と決まって、手帳に書き込もうと手帳を開いたところ、明日の火曜日に赤丸がついていることに気づいた。何の日だったか、と確認してみたところ、それは俺の彼女の誕生日だったのだ。彼女の誕生日を忘れるとはとんでもない彼氏だとは思ったが、最近部活が忙しく、ろくにデートもしていない状態だったので忘れるのも当たり前…ってこれじゃ彼氏失格だ。とりあえず俺の彼女、未来には最近一緒にいてやれなかった訳だし、その日は円堂に許可をもらってちゃんと一緒にいよう。円堂も話せばわかってくれるはずだ。と、密かに計画を立てていたのだが途中で気づいた。
誕生日プレゼント、何にしよう。
女の欲しがる物、しかも未来の欲しがる物なんてわかる訳もなかった。普通なら服とか手鏡とかの小物をあげるのだろうが未来はそういうのに興味がなさそうな女だ。果たして流行のバッグや服をプレゼントしたところで喜ぶだろうか。俺は悩みに悩み、風丸にも相談したところ、アクセサリーにすることにした。未来はおしゃれにそんなに興味がないが、ネックレスをつけているところ何度か見たことがある。それで決めたのだ。ところがさらに問題があった。アクセサリーを買いにいきたいのは山々なのだが、そういう女物のアクセサリーショップに俺ひとりで行ける勇気などある訳がないのである。風丸を連れていこうとしたが奴はプレゼントがアクセサリーと決まったら用事があるんだと部活も出ずに帰ってしまい、校内に残っているのは部活をしている奴らだけだった。仕方なくサッカー部の奴らを誘うことにしたのだが。
「円堂と行けばいいだろう」
「あいつに女心がわかると思うか?」
「木野は?」
「二人で行ったら浮気してるみたいじゃないか」
「…一ノ瀬は」
「もう帰った。ついでにマックスと鬼道も」
「…土門はどうした」
「帰ったよ。ほとんど残ってないんだ」
俺がそう言うと豪炎寺は困った顔をした。いや頼むよ豪炎寺。本当お前しかいないんだって!
「俺だって女心なんてわからない」
「円堂よりはマシだろ」
「他の奴ら呼び出せば良いだろ」
「携帯ないんだよ、俺」
「………」
「頼むからさ!な!お前しかいないんだって!」
「…悪い。帰る」
「豪炎寺頼むから!これで別れたりしたら本当死ぬから!頼む!」
「ひとりで行けるだろ」
「行けない無理!」
などと豪炎寺と葛藤を繰り返し、散々頼み込むと豪炎寺は仕方ないか、とついてきてくれた。本当助かった。だが山はこれからだ。アクセサリーショップ、ちゃんと入れるだろうか。
ガーデニアの胸飾りを君に贈る
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豪炎寺と半田という異色のコンビ
0216追伸 たまたま冒頭が他のサイト様とかぶったので冒頭のみ修正を入れました。「パクリ?」と思った皆様。違いますパクリじゃないですよ!