小説 | ナノ
※学パロ
お昼ご飯は学校での私の唯一の楽しみだ。ぐーぐーと栄養を求めて鳴くお腹を満たすもの。もはや私はこの時間を楽しみにして学校に来てると言っても過言ではない。という訳で私が鼻歌を歌いながら上機嫌でお弁当を食べようとしていたところに奴は現れた。
「おい、」
背後から話しかけられ、誰だよ私の貴重なランチタイムを削る奴はと嫌々振り向くと弁当を片手に持ったザジがいた。なんだこいつ昼前に話しかけるな食欲に対する集中力がなくなるだろと思いつつ、「なに?」と生返事をするとザジはいきなり私の腕をむんずと掴むとこう言い放った。
「屋上行くぞ」
「…はあ?」
「どうせ一緒に食うやついないんだろ。だったら俺が一緒に食ってやるよ」
出たザジの俺様。何故か知らないがザジは私に対して上から目線をしてくる。たぶん私のことが気にくわないとかそういうのなのだろうけど、だったら話しかけなければいいのにと思う。でもこんな俺様なザジでも可愛いな、と思う時はある。いつだったか私がザジに「可愛いね」と言った時、私の言葉にザジは「おっ男に可愛いなんて言葉使うんじゃねぇ!」なんて言ったのだ。ああいう時だけやけに可愛いかった。こういうのをツンデレと言うのだろうか。というか今はそんなことどうでもいい。今のザジは全く可愛くもない俺様野郎なのだから。
「何で私が」
「いいから来いって。いいもんやるから」
「い、いいもん?」
私が思わず期待してしまった隙を見逃さずにザジは私の腕を掴んで歩きだしてしまった(そんなことされたら私も歩くしかない!)。私はお弁当がぐちゃぐちゃにならないようにしながら歩いた。こういう時だけ私は無駄な集中力を発揮する。階段を上がり、ザジが勢いよく屋上のドアを開けると眩しい太陽の光がさしこんだ。まぶしい。そう思った瞬間に冷気が私の足をかすめた。寒い!私達はそのまま外に出て、ザジがおもむろにお弁当を開けだしたので私もしぶしぶ開くことにした。
「寒いしなんで屋上なんかで食べなきゃいけないのよーう」
「いいもんやるから我慢しろよ。おらっ」
ザジが私に向かって何かを投げてきたので「うわっ」私は慌ててそれを手で受け止めた。何かと思って見ると、それは私が前から欲しいなーと思っていた飲み物についてくるキーホルダーで。
「あっこれ…!」
「お前この前欲しいとか言ってたろ?」
「わー、ありがとザジ。たまには良いことするじゃん」
「たまにはは余計だっ」
「でっ」
ぼかっと頭を殴られてしまい私が頭を抱えていると、「あ」ポケットに入っているザジの携帯に今もらったのと同じキーホルダーがついている事に気づいた。私が見ていることに気づいたザジは慌てたように携帯をポケットの奥にしまった。
「ザジ、今の」
「べっ別に一緒にした訳じゃないからな!同じの当たったからお前にやっただけだっ!」
慌てて言うザジ。その時はなんにも思わなかったが、後日にゴージュからザジが同じ飲み物を五個くらい買っていたという話を聞いた。そこでようやく私は、ああやっぱりザジはツンデレなんだなと改めて思った。
ツンデレな男の子はお好きですか
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ザジがツンデレと聞いていてもたってもいられなくなった