小説 | ナノ


最近運び屋のヴァルツという人が島に来た。クールな感じな人で、最初は何を話しても「うるさい。迷惑だ」としか言って来なかった。だけど前に買い物に行こうとしていたら「あっ」ヴァルツに会った。彼は私をちらりと一瞥するとまた歩き出してしまった。私も慌てて歩き出した。歩いていると自然にヴァルツの横で歩くようになった。特に話すこともなく、ただヴァルツの横を歩く。歩く方向がいっしょってことはヴァルツも買い物かなあと思っているとあっという間にお店に着いてしまって、ヴァルツはさっさと中に入ってしまった。
これが私とヴァルツの一番最初の接触だった。その日から毎週水曜日と木曜日、ヴァルツが島に来る日は自然に私とヴァルツの店に行く時間が一緒だったので、その一週間のうち二日間だけ、決まった時間に私とヴァルツは一緒に店に行くようになったのだ。朝起きて、牛たちの世話をして店に行く。たまたまでヴァルツは何も思ってないだろうけど、私は嬉しかった。毎日これが当たり前になって、私は毎日これが楽しみになった。これからも私は、この幸せな時間を感じていきたいな、と思った。



曖昧に始まる水曜日






 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
続きます。



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