能力強化 | ナノ
アクセラレータに腕を引かれ(てかずっと思ってたんだがこいつ細いのにめっちゃ力強い。まあ途中で振り払ってやったが)、やって来たのは知らない廃墟の建物の屋上だった。一体ここで何をするんだろうか。


「ねえ、何する気?」
「いいから黙ってなァ」


聞いてもアクセラレータは黙ってろとしか言って来ない。私は夜になって気温が低くなってきたのを感じながら、ため息をついた。一応長袖を着てきたとはいえ、秋が近づいてきたせいか少し寒い。早く用事とやらを済ませて家に帰りたいなあとか思ってると、いきなりアクセラレータに手を掴まれた。


「なっなに?」
「来たんだよ。とっておきのお客様がよォ」
「はあ?」


なに言ってんだこいつ早く手放せよと振り払おうと思ったが、次の瞬間、私の足元に鋭い閃光が走ったせいでそれもできなかった。私がびっくりして足元を見ると、さっきまで私が立ってたコンクリートの床が黒焦げになっていて、しかも煙が上がっていることにさらにびっくりした。


「なっ…なにこれ…」
「だから言ったろォ。お客様が来たって」


アクセラレータはにやりと不敵な笑みを浮かべた。どうやら正体不明の狙撃手が私たちを狙っているらしい。さっきの閃光を見る限り、多分能力者の攻撃だ。アクセラレータの横顔を見ると、閃光が飛んできた方向を見て変わらず不敵な笑みを浮かべている。私は狙われているにも関わらず、笑みを浮かべてるアクセラレータに思わずゾッとした。
- ナノ -