能力強化 | ナノ
学園都市。人口の八割を学生がしめるとこからこう呼ばれている。私はそこに住む、まあごく普通の女子高生である。通う学校は共学の、またごく普通の学校だ。名前も桃原未来と、普通である。と、こんな360度どこから見ても普通の私であるが、私には、普通とはちょっと変わったところがあったりした。私には能力がある。この学園都市ではそれは至って普通なのだが、私の能力は少し周りより珍しかったりする。ただ完全なるサポート系の能力であるため、私自身が一人でいたところで全く役に立たないただの女子高生だ。だから私はそれを踏まえて、自分のことを普通と自覚している。ところがまあ、このごく普通の私がある事件に巻き込まれていくなんて考えもしなかった。



学校が終わり、特に何もないので家にそのまま帰る。ひとりで道を歩きながら、私は小さくあくびをした。そういえば最近あまりよく寝ていない。家に帰ったら寝ようかな、なんて思っていたら、目の前に誰かが立ち塞がった。一体誰だよ。私は眉間にしわをよせながら、その人物を顔を見た。そしてそいつの顔を見た瞬間、私は猛ダッシュでそいつから逃げていた。冗談じゃない。なんであんな奴に会わなきゃならないんだ。私は必死に逃げていたが、その抵抗も虚しく、すぐに追いかけられて腕を掴まれた。私は恨めしげにそいつを見上げる。白い髪に白い肌、色素の異常に薄い少年、アクセラレータはにやりと気味の悪い笑みを浮かべた。私はさらに眉をひそめると、重々しい口を開いた。


「なに?」
「なに、じゃねーだろうがよォ」


久しぶりだなァ、そんな風に気味悪く付け足してきたこの気味の悪い少年は、まあ、私の知り合いだったりするのだ。忌ま忌ましいが。
- ナノ -