能力強化 | ナノ
最近、人と触れることが怖くなくなった。私の能力は大変めんどくさく、私に不意に触ると触った人の能力が勝手に発動してしまうのだ。だが別に不意に私に触った場合でも能力が勝手に発動することはないと、最近知った。たまに不意に触られ、能力が発動していないのを見て私は前々からあれ?と思っていたのだけど、最近アクセラレータと暮らし始めてから確信した。勝手に能力が発動することはないと。昔触られて能力が勝手に発動してしまったのは多分、その時の私が未熟だからだったと思う。多分その時はまだ能力を充分にコントロール出来てなかったのだ。ふざけて抱きついてきた知り合いのlevel3の発火能力者の能力を勝手に発動させてしまった時は真面目に困った。ただ私の基本的な能力自体は引っ込む様子もなく、やはり触れた人の能力を強化させた。


「…って最近思うんだけどどう思う?」
「つーかお前なんて格好してんだァ?」


私の質問を無視してアクセラレータは私の格好に目をやった。確かにアクセラレータの前で下着姿はちょっとまずいかもしれないが、別に私もアクセラレータも気にした様子はない。下にスエットはいてるし。上はブラジャーだけだけど。


「だって上に服着ると髪の毛で濡れちゃうんだもん」
「襲われンぞォ」
「誰に」
「俺とか」
「嘘くさ」
「てめェ襲うぞォ」
「いや無理やめて」
「だったら服着ろ」
「はーい」


私は素直に返事をした。アクセラレータなら私の処女を真面目に奪いかねないと感じたからだ。その辺に置いてあったTシャツを手に取ってごそごそと着る。アクセラレータは特に興味を示さずにテレビを見ている。私も一緒になってテレビを見ることにした。やっているのはつまらないニュース番組。私はつまらないと思ったが、他に見たいのもないので黙って見ることにした。本日未明、***地区で火事が起き―――つまらない。私はすぐに視線を反らした。私は部屋に戻ろうと立ち上がった。すると「あァ、ちょっと待てェ」とアクセラレータが声をかけてきた。


「ん?なに?」
「話があンだよ。座れェ」


服の裾を引っ張られ、私はそんな座って話すようなことなのかと一瞬疑問に思ったが、別にそんな急いで部屋行くほどでもないので黙って座った。


「で、なに?」
「前によォ、俺を襲って来た奴らがいたじゃねェか」
「うん」
「そいつらの素性がわかった」
「は?」
「ただの雇われた奴らしいぜェ。まあ大方いつものチンピラ共が雇ったンだろうけどなァ」
「……ふぅん」
「他に何か聞かねェのかァ?」
「別に。興味ない」


私はそう言うとまたテレビに視線を戻した。あ、ドラマ始まった。しかもさりげなくエロいやつじゃんこれ。私はちょっと見たかったが、きわどいシーンが出たらちょっとなあと思って立ち上がって部屋に行こうとしたらアクセラレータに呼び止められた。


「おい桃原」
「なにー?」
「もうちょっと色気のある下着にしろよなァ」
「余計なお世話だ変態」
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