恋枯らし | ナノ
最近の俺はおかしいと思う。そのせいで練習に集中できないし、イライラするし、そう、すべてはあいつのせいだのだ。あいつのことを見ると心臓が高鳴る。あいつの事を考えると全身の血が沸騰するみたく身体中が熱くなる。あいつが他の男と喋っているのを見るとイライラして、それに苦しくなる。ましてやあいつが、桃原が源田のことを話したりしているだけで、ものすごくイライラして、壁に拳を叩きつけたくなる。思いっきり大声で叫びたくなる。全部、全部あいつのせいだ。絶対あいつが悪い。こんなの始めてだ。今日、俺はいつにも増してイライラしていた。桃原が休憩中に源田に電話していたからだ。俺はイライラしながら食事を終えると、食器を片付けようと立ち上がった。すると、食器を片付け終えた桃原がやって来た。


「不動、今日どうしたの?ミスるなんて珍しい」

「別に何でもねぇよ」


ぶっきらぼうにそう言った。話しかけてきたのは嬉しかったが、イラついていたのでいい加減な言い方になってしまった。桃原にぶっきらぼうに話しかけてしまったことにまたイラついて、俺はぐっと眉間にシワを寄せた。自分にもあいつにも腹が立つ。桃原は食器を片付ける俺の後をちょこちょことついてきた。俺はそんな桃原を見て、怒りが湧いてくるのがわかった。お前には源田がいるのに、何で俺に話しかけて来るんだ。何でそんなふうに笑いかけて来るんだ。俺と同じ気持ちじゃないなら、そんな笑顔を俺に向けるな。


「ねえ不動?聞いてる?」


さっきから俺が何も言わないのにしびれをきらした桃原が俺の顔を覗き込むように言ってきた。俺は募るイライラを抑えながら、言い放つように冷たく言った。


「お前ってなんでそんなに俺にくっついてくんだよ」


とにかく、俺がこいつに惚れたかもしれないというのは大問題だ。
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