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いつ眠ってしまったのか、いつのまにか朝になっていた。あまり寝た気がしない。回らない頭を持て余していると、何だか食欲が湧かなかった。ごちそうさまをすると、母さんは目を丸くした。きっとおかわりをしなかったせいだ。弟たちや父さんもひどく心配しているようだったけれど、大丈夫だと笑って家を出る。ぼーっとしながら歩いていると電柱にぶつかった。


「丸井?なにしてんの大丈夫?」


ああ、どうしよう。頭の中をサッと走り去っていったのはこんな台詞だった。この声は、ひなだ。今日最初に会ったのがひなで嬉しいとか、朝から格好悪いところを見られたとか、普段ならそんな能天気なことを考えているのだろう。でも、今日はそうもいかない。どんな顔をして会えば良いのかわからなくなっていた。俺はいつも、どんな顔でひなを見ていたのだろう。どうやってひなと会話していたのだろう。




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