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円堂くんが怪我をした。足首を捻挫したのに、そのことを練習が終わるときまで隠してて、すぐに冷やして手当しなかったから、きっと痛みの引きも遅いだろう。まさか私が気づかなかったら、そのまま黙ってるつもりだったのかもしれない。

「このくらい大丈夫だって!すぐ治るだろ」

そう言って笑ってはいたけれど、私は練習を一時休んだらどうかと提案した。試合目前と言うわけではないし、捻挫を甘く見ちゃいけない。円堂くんは大事な戦力なんだから、全快するまで我慢して安心できるようになってから参加したらどうかと、すると円堂くんはまた笑ってこう言った。

「ありがとな。でも、俺はキャプテンだし、心配かけたくないからさ」

「きっと皆も、毎日これだけ練習してれば、どこかしら体が痛いはずなんだ。俺だけじゃない」

「ちょっと痛いけど、我慢できないほどじゃないし。怪我してサッカーできないなんて、俺は痛いのより嫌だから!」

そこまで言われてしまったら私の口も閉じてしまう。とりあえず次の日は、皆にはバレないように足首にテーピングだけ巻いてあげた。練習の合間、円堂くんには特にできる限り気を配るようにする。練習が終わった後に、痛みはどうだったかと問いかけてみた。

「うーん…やっぱりちょっと痛かったけど、練習中はそんなに気にならなかった!」

「たぶん皆には気づかれてないと思う。テーピングのお陰かもな!」

次の日も、次の日もその繰り返し。1週間も経つと円堂くんの足の痛みも大分引いてきたみたい。今日も練習前にこっそりとテーピングを巻ながら円堂くんと話をした。

「いつもありがとな!」

円堂くんはキラキラと光る笑顔の奥には、全てを受け止める優しさと、辛さに耐え抜く強さを携えているんだなと思った。

煌めき / 20100119


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