ふるえる両手で縋るように抱きしめた。普段なら触られることさえ嫌うはずのガゼルが、大人しく腕の中に収まっていることで違和感のような不思議な感覚に襲われる。
少しだけ体を話すと、目があったガゼルは珍しく柔らかく綺麗に微笑む。
「髪と同じ色だな」
そう言って俺の頬に添えられた手は少しだけ温度が低くて心地いい。
「…うるせえよ」
苦し紛れに悪態をついて、その手を掴んで引き寄せる。触れるだけのキスをして俯くと、ガゼルはくすくす笑った。
「へたれ」
余裕な表情のガゼルにかちんときて、勢いに任せて噛みつくようにキスをした。深く深く絡み混ざり合っていく唾液と舌に、だんだんとガゼルの表情も険しくなってゆく。
リップ音と共に離れた唇からは、荒い呼吸が聞こえた。形勢逆転、勝ち誇ったように笑ってみれば、悔しそうにガゼルが見上げてくる。こんな状況で睨まれても全く怖くないわけで、面白がって頬を抓ってやる。さすがにその手は払われたが、もう1度口づけを落とした俺たちは、そのまま真っ白なベットへと沈んだ。
ライオンハート / 20100130