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「ヒート!」
「バーン、どうしたんだ?そんなに慌てて」
「どうしたじゃねーだろ!ケガしたって…!」

血相を変えて部屋に入ってきたバーンは、俺の頬の血を見てさらに顔を青くした。大した傷ではないものの跡は残るだろうと言われたそれは、血は止まりかけているがまだ少し痛みを伴う。

「おま、っ、血が!」
「取り乱し過ぎだ。ちょっとした切り傷にすぎない、すぐ治るよ」
「でも…!そんな、痛いだろ!こんなに血が出てんのに平気な訳ない!」
「大丈夫だ。痛みも引いてるし血も直に止まる」

未だにでも、心配そうな瞳を向けるバーンに苦笑する。コイツは過保護というか大袈裟というか、俺が怪我をしたり風邪を引いたりすると毎回こんな調子だ。しかし、心配してくれるのは素直にありがたいとは思う。

「せっかく体治ってサッカー出来るようになったんだろ!今度は怪我して出来なくなったとかマジで笑えねーからな!」
「わかった、わかった。気をつけるよ」
「気をつけるってお前、そんだけかよ!俺がどれだけ心配したと…!」
「バーン、」
「…っ」

言い足らないようにムスッと顔をしかめるバーンは何だか笑えた。彼は大事な幼なじみ、愛おしい存在。ずっと傍にいたいという友情の果てに、それ以上の感情を抱いてしまうのは罪だろうか。

「心配かけたな」
「…次からは許さないからな。マジ怒るからな」
「ははっ、わかった。肝に銘じておこう」

黒ずんだ血の色とは対照的な鮮やかな紅色の髪ごと腕の中に抱き込めば、バーンは微かに抵抗したものの大人しく俺の包容を受け入れた。珍しい。

「…今日は恥ずかしがらないんだな」
「な、別にそんなんじゃ」
「まあ…俺は一向に構わないが、どこか具合でも悪いのか?」
「ちげーよ!!俺は…その、お前が怪我してるから、下手に暴れない方がいいかと思って…、」
「バーン…」
「っ、だああああもう!そんなに見るなああ!」

頬の傷から流れ出る血は、もう完全に止まったようだ。顔を真っ赤にした面前の人物の反応に耐えきれず頬を緩めると少しだけチクリと痛んだ。しかしその痛みでさえも気にならないくらい、俺は彼の人が可愛くて愛しくてたまらない。



たいせつなひと / 20100111


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