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夜空に浮かぶ星はきらいじゃない。特に冬の空はとりわけ美しい。まるでそのまま雪になって降ってくるのではないかと思うくらい幾千もの星が輝いているのを見るのが好きだった。そして隣にちょこんと座る吹雪もそれが好きだと言った。

「はーっ、寒いねえ」
「そうだな…」

2人してベンチに座って空を眺める。傍らに座る吹雪はマフラーに耳当て、セーターの上にコートを着込んでいるせいか何だかモコモコしていて面白い。そして星空にも負けないくらいキラキラとした瞳で空を見上げた。

「きれいだね」
「…ああ」
「……ねえ、涼野くん」

顔だけ向けて答えると、吹雪は少しだけ身をすくめて眉を下げた。

「ちょっとだけ、くっついてもいい?…寒くて」

私はよく吹雪に甘いと言われるが、それは他の奴らも同じことではないかと思う。私はどちらかと言えば暑がりな方だからこの寒さもどうってことはない。だがしかし頼まれてしまってはそれももうどうでもよくなった。

私を見つめたまま返答を健気に待っている吹雪が可愛くて、その銀色ごと小さな体を抱きしめた。

「す、涼野く…!」
「ん?」
「外だけど…いいの?」
「構わない」

屋外で密着するのは人の目が煩わしいから嫌いなはずだったが、今この状況を私はとても楽しんでいた。私の言葉を聞いて一瞬吹雪は驚いたように目を開くが、すぐに嬉しそうにふわりと笑って遠慮なく私に抱きついた。

「あったかい」
「それはよかった」
「涼野くん」
「なんだ?」
「星、きれいだね」
「ああ、本当に」


星空 / 20091225


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