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ちっぽけな世界と、ただひとり
( Dear 真知 )

たとえば、世界とキミとを天秤にかけてみるとしよう。馬鹿げた喩えかもしれないけれど、俺はきっと迷わずキミを選ぶだろう。要はキミのいない世界なんて俺にはなんの価値もないってこと。それくらいキミは俺にとって大切な存在であるってこと。俺がキミを心から愛してるってこと。何故ここまで依存してるかなんて俺にだってわからない、別に特別な縁があったわけでもないけれど、だからこそ、こうしてキミの居場所が俺の隣であることがすごく幸せなんだと思うんだ。だからきっと、キミがいなくなってしまったそのときは、俺の世界も終わるんだ。

「なにそれ、心中願望?」
「いや、違うよ。それくらい好きってことさ」

わかっていたかのようにクスクス笑う真知は、いつだって俺の隣にいてくれる。いつまで経っても変わらない笑顔がそこにあるから、俺は安心するし、逆に、怖くもなるんだ。消失、喪失、失うという恐怖は、俺が1番よく知っている。なくなってしまったら、取り戻すことは難しい、それが本当に大切なものならば、代えだって利かないし満たされることもなくなるんだ。世界大会に先立って、アメリカへ帰ることになった俺。もともと日本で生まれ育ち、今回も日本代表と共に世界を目指す真知。精神的には繋がっているんだと信じたいけれど、物理的には確実に離れてしまう俺たち。俺はまた、失うのか。大切なものを無くしてしまうのか。そんなことあるはずもないのに、ひどく不安で仕方ない。

「わたしは日本代表だけど、一哉のことも応援するからね!」
「…じゃあ、俺たちと対戦することになったら、真知はどっちを応援するの?」

我ながら意地の悪い質問だと思う。真知を困らせるだけの、幼稚な皮肉みたいなものだった。一瞬だけ空いた間にハッとして慌てて訂正しようとしたけれど、真知は優しく笑いながら囁いた。みんなには内緒にしてね。その一言で、涙が出そうなほど胸が熱くなる。さっきの不安が嘘のように、暖かく、満たされていく。その一言だけで俺は何百倍も何万倍も強くなれる気がした。俺の世界とキミ。天秤にかけるなら答えは簡単だ。おおげさだってキミは笑うけれど、キミの中の俺の存在も、同じであって欲しい。そうだとしたら俺たちは、物理的距離なんて飛び越えていけるほど強く、尊い絆で繋がれていることになるんだと思う。俺はまだまだ子供だから、そうであるのだと、信じてみるのもいいだろう?

「そんなの、一哉を応援するに決まってるじゃない」

20100815

真知に捧げます!相互ありがとうございました!ほんと…ごめん…最初から最後まで意味不明すぎてorz


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テーマ「人外ファンタジー」
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