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最近知ったことがある。

「…あ?あーもう、わかったよ、…ああ、」

イナズマジャバンのジョーカー、孤高の反逆児と唱われる不動明王。此奴にはどうやら仲の良い女がいるらしい。日本で合宿所にいたときから夜になると度々抜け出してどこかへ行っていたのは知っていたが、どうやら女と会っていたようなのだ。今だってライオコット島に来てからもう3度目になる電話。1度目の電話の時に春奈が、廊下で通話していた不動の口から女の名が出るのを聞いたらしい。話し方や不動のあのいつもと違う表情からして今回の相手も、例の女であることは間違いない。しかも今回は皆が集まる食堂で不動は電話をしているので、俺たちは気にせず夕食をとるフリをして、揃ってその電話に耳を傾けていた。

「はいはい…ああ、帰ったらな。…この間の?…ああ、鬼道のことか」

不意に出た俺の名前に思わず顔を向けると、不動も俺を見ていた。視線が合うと詰まらなそうに目を細めて奴はしばらく俺を凝視する。そしてすっとそれを逸らして不敵に笑いながら、大したことねえよ、とかなんとか言っていた。まったく不動明王とはこういう奴だ。しかし、誰とも馴れ合わず、声をかけるマネージャーたちの言葉でさえほぼスルー状態の不動がこんな表情で女と話すとは驚きだ。少しだけ口角を上げて小さく弧を描く口元は試合中によく見せるあのニヒルな笑みではなく、どことなく幸せそうな笑みに見える。声もいつもより弾んでいる気がする。それには他の皆も気づいているのか、隣の佐久間が奇怪なものでも見るように瞬きを繰り返しながら、不動、何か楽しそうだな、と言った。

「ああ、じゃあな…わかったって、…おやすみ」

最後に不動らしからぬ言葉を発して電話が切られると、真っ先に立ち上がったのはやはり円堂だった。誰と電話してたんだとか、彼女かとか。俺だったら絶対に応えたくないような質問を浴びせられていて、少し不動に同情した。当の不動はと言うと、驚いたように瞬きを数回した後、か、関係ねえだろ、と吐き捨てて足早に食堂を去っていった。さて、不動の交友については春奈に調査を頼むことにしようか。

ジョーカーの恋人 / 20100626


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