影山 | ナノ





俺は、貴方の何だったのでしょう。

施設から俺を引き取り、ご自分の求める俺を作ろうとしたのは貴方です。俺を誰よりも理解し、誰よりも俺に近かったのも貴方です。そして俺自身も、そんな貴方からずっと逃れられずにいました。

あの頃の俺は、貴方を否定するなんて考えもしなかった。ただ貴方を尊敬し、仕え尽くしていた。あの頃の俺は、貴方の野望を実現させるための、受け皿に過ぎなかったのかもしれない。けれど、今は違います。

俺は、自ら貴方の下を去ることで、たくさんのものを得ました。自分らしいプレー、負けたくないという向上心、いつでも切磋琢磨し合える仲間たち。貴方からの巣立ちは、俺に多くのものを与えました。

でも、無くなったものもあった。例えば、貴方という絶対的な存在がいるからこそ、生じていた自信。例えば、いつも確かな答えを示してくれた指導者。そして、唯一無二だったはずの、俺の居場所。

貴方から離れたことで、得たものは多かったけれど、失ったものも、確かにあったんです。それほど、俺の中の貴方の影響力は、大きく、強く、深かった。


俺にとっての貴方という存在は、師であり、敵であり、父だった。

貴方にとっての俺は、どうでしたか。ただの作品にすぎなかったにしては、俺は貴方から、多くのものを貰いすぎた。貴方が敵となったあの日々でさえ、俺のために必要だったのではと思えるんです。貴方は最期まで、俺の背中を押してくれた。


だから俺は、一生貴方を忘れない。



貴方は俺の全てでした
(貴方に出逢えてよかった)

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