男鹿くんは私の彼氏である。どんなに可愛いくて強い先輩にも、どんなにかっこよくて金髪な巨乳さんにもデレない彼なら多分大丈夫!という憶測をもって彼を訪ねた。
「お、男鹿くん…?」
「む?どうした?」
びくついている私がいつもと違うことに気付いたのか、男鹿くんはわざわざ席を立って歩いてきてくれた。
「あ、あの……!」
「………?」
だ、駄目だ…やっぱり恥ずかしい…!私は、男鹿くんの顔を見ながら伝えることは無理だと判断した。
「男鹿くん、ちょっと耳貸して!!」
「お、おぉ…」
(ブラ着けてくるの忘れちゃったの!どうしよう……)
「ぶっ!?!?」
言い終わった途端男鹿くんは勢いよく噴き出した。そして真っ赤になって固まった。
「お、男鹿くん…?」
「な、なあ…聞こえなかったからもう一回頼む」
「う、うん…」
そう言われて私はもう一度男鹿くんの耳に口を近付ける。
(あのね、…ブラ着け忘れちゃったの)
「………まじでか」
「…うん」
「え?それを言いに来るってことはアレってことか?きちゃっていいよみたいなアレか?」
「アレ?」
「……いやいや、落ち着け俺、純粋で真っ白なこいつに限ってそんなことある訳がない。落ち着け俺!耐えろ!耐えろ俺ェ!」
何かぶつぶつ言っている男鹿くん。どうしたんだろう、と心配で見つめていると、男鹿くんは学ランを脱ぎ始めた。そしてそれを私にふわりとかけてくれた。
「……着とけ」
「男鹿くん…ありがとう!」
「ぶっっ!!!!だ、だだだ抱き着くな!!(準ダイレクトに胸があたるだろうがあああ)」
挙動不審な行動もあったけど、男鹿くんに相談して良かった!
(俺はよくねぇんだけど……)