ネタ | ナノ

誰も俺のことなんか見てくれてる人はいないと思っていた。俺、ほら…地味だし。うん。すげー地味だし。


「山崎くん、優勝おめでとう。」
「え………」


学年集会的な…というか三年生の風紀の乱れを先生達がここぞとばかりにネチネチとつっこんでくる集会の最後の最後に、俺がこの前の大会でまぐれ優勝したことを表彰された。表彰してる途中で3Zの奴らが何かしでかしたせいで、俺の表彰なんて誰も見ていなかったはずなのに…。俺におめでとうと告げてくれたのはどこか見覚えのある女の子だった。


「優勝なんてすごいなあ」
「あ、いや……たまたまトーナメントの当たりが良かっただけだし…でも、ありがとう…ございます。」


俺が軽く頭を下げると、女の子も同じように頭を下げていた。じゃあ、と特に続ける話題もないから俺たちは離れようとした。その間際に女の子が「優勝したのは山崎くんの実力だと思う。私、試合見ていたから分かります。」と言って今度は本当に生徒の人混みの中に消えていった。

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