アイラブスタンド! | ナノ

 彼は、身体中に目があるから、どこを撫でていいのかよく分からない。本体のプロシュートには、苦い顔で「撫でなくていい」とだけ言われた。でも、彼ーーザ・グレイトフル・デッドが可愛くて仕方ないのだ。わたしは、彼のことを敬意と愛情を込めて、デッドくんと呼んでいる。プロシュートは認めてくれないから、非公認なんだけど。ちなみに、彼の姿はすごく特徴的だ。

 二本の腕に、身体から伸びている、どんな人間もおじいちゃんやおばあちゃんにさせてしまうという煙を吐き出す管、身体中に存在している鋭い瞳。どれをとっても魅力的だ。

 初めて彼を見たときは、怖くて、足がすくんでしまったのを覚えている。たくさんの目が、全部わたしを見ているのが、本当に怖かった。だけど、しばらくしたらその目にも慣れて、呼びかけると、まるでゴールデンレトリバーが主人にするように、管を揺らして近寄ってきてくれるのがすごく嬉しくなって、いつの間にかデッドくんを好きになっていた。デッドくんとお揃いにしたくて買った、パープルのマニキュアを塗って見せたらプロシュートは渋い顔をしたけど、わたしはとってもお気に入り。だって、隣にずっとデッドくんがいるみたいだもん。

 デッドくんの攻撃は、ペッシが教えてくれたからどんなものか知ってるけど、実際に見たことはない。プロシュートが『お前みたいな足手まといと誰が組むかよ』と言って、わたしと一緒の仕事を拒むのだ。わたしはデッドくんのどんな姿も見たいのに。ペッシは何かを思い出したのか、青ざめた顔で「なまえは、ザ・グレイトフル・デッドの能力を目の当たりにしてないから、好きだなんて言えるんだ」なんて言ってたけど、わたしはどんなデッドくんだって受け入れる所存だ。


「わたし、なんならデッドくんに殺されたいくらいだもの」


 隣に寄り添っていたデッドくんが、不思議そうにわたしを見上げた。

 


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