アイラブスタンド! | ナノ

 本体のミスタが私の膝の上でぐっすりと寝入っているにも関わらず、彼のスタンドであるセックス・ピストルズは元気に飛び回っている。私はミスタの頭を撫でながら、彼らの会話に耳を傾けていた。もっぱら彼らの話の中心は、美味しいご飯のことで、あれが美味しかっただの、これをまた食べたいだの、みんなでワイワイと話し合っている。話の途中で、なんの脈絡もなくNo.5がNo.3に暴力をふるったときにいさめるというのが私のこの空間での役割だった。


「ミスタ、マダ オキナイノカァー?」
「そうね、疲れていたみたい。寝てるとミスタもこんなに静かで可愛いのね」
「カワイイ?」
「ソレハ、ミスタガヨク イッテルヤツダロッ?」
「ミスタはよく可愛いって言ってるの?」


 ピストルズたちの言葉に、ミスタとの日々を思い出してみる。軽いように見えて、案外男らしい彼は、あまり私に可愛いとか綺麗とか、ド直球な褒め言葉は囁かない。ベッドの中は例外だけれど。それなら誰に可愛いなんてよく言ってるのかしら、と私の膝で心地よさそうに寝る男に目を向ける。


「イツモイッテルゼ!『さっさと仕事を片して、早く可愛いなまえに会いてぇなー』トカ」
「『クソー、なまえは電話に出る声も可愛いな』トカダロォッ?」


 ピストルズは、口々に、覚えていたミスタの可愛いの使用例を言っていく。その全てが私に関連したもので、私の体温は一気に上昇した。なによミスタ…私には言ってくれないくせに…なんて呟きながら、もう一度ミスタの頭を撫でる。一通り話し終えて、疲れたのか、ピストルズは、ミスタの頭が乗っていない膝の方に降りてきた。みんな眠たそうだ。6人それぞれ撫でてやると、みんな嬉しそうに目をつぶった。お昼寝の時間はもうちょっと、続きそう。

 


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -