2013バレンタイン | ナノ
今日学校の帰り道、偶然同じクラスの伊月クンがウチとは違う制服を着た女の子と睦まじい様子で歩いていくのを見かけた。くそうリア充め、末永く爆発してください!なんて考えつつ、私は一人寂しい帰り道を急いだ。

家に帰って玄関を開けると、甘ったるい匂いが広がった。なんだなんだとリビングを開けると、妹が四苦八苦しながら、何かを作っているのが目に入った。妹はついこないだ彼氏が出来たらしい。「おねぇちゃん、私彼氏が出来たの。」「え、そうなの?おめでと〜」と交わした会話が記憶に新しい。あとで味見してねと笑う妹に、生返事を返したあと、自分の部屋のベットに飛び込んだ。

いつの間にかベットで寝てしまっていたのか、再び目を開けたときには、外は真っ暗になっていた。誰も起こしてくれないとか、なんて非情な家族なんだ…と目を擦りながら起き上がる。真っ暗な部屋に浮かび上がる携帯のライトに手を伸ばすと、音声着信が入っていることに気づいた。

「キヨ…から…?」

相手は隣に住む幼馴染みの宮地清志からだった。ひとつ年上だけど、小さいときはよく妹も一緒に三人で遊んだものだ。なんの用だったんだろう…と考えていると携帯が震えた。慌てて通話ボタンを押すと不機嫌なキヨの声が聞こえてきた。

「出んのおせーよ」
「…寝てた」
「はァ?」
「どうしたの」

私がそう尋ねると急に押し黙ったキヨ。聞こえなかったのかと思ってもう一度口に出すと「聞こえてるっつーの轢くぞ」といつもの調子で帰ってきた。

「おまえさぁ、」
「なに?」
「誰にもやってないよな」
「何を」
「…チョコレートに決まってんだろ」
「あげてませんけど何か」
「………だよな!だと思ってたけど!」

そのあとしばらく他愛のない話をした私たちは電話を切った。切ったあとで、結局キヨの用事は何だったんだろう…と首をひねった。

「おねぇちゃんってさあ、鈍感だよね」
「姉に対して失礼すぎないか」
「キヨにぃにチョコあげれば?」
「…うん。今からコンビニで買ってくるわ」
「きっと喜ぶよ!」
「だと、いいけど」

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