2013バレンタイン | ナノ
自分の気持ちから逃げられないように、学校の友達に今年はバレンタインに告白する!と宣言をした。話は膨らんで、私服を着て、手作りのチョコレートを持って告白してくること、なんて決められてしまって、その場では思わず苦笑いを浮かべてしまった。でも、今までこの気持ちを隠してきたのだから、それくらい派手に分かりやすくやったほうが、ふられたときにスッキリできるかもしれない、とつけっぱなしのテレビをぼんやり見ながら考える。

「あ、黄瀬だ。」

兄の声につられて現実に思考回路を戻すと、画面には笑顔を振りまくモデルの黄瀬くんがいた。黄瀬くんと兄は同じ高校で、うちに度々遊びに来る森山さんの部活の後輩でもあるらしい。そして実は、私が想いを寄せているのは、その森山さんだったりする。初めて会ったときは、イケメンすぎてとても緊張した。だけど、クールな見た目に反してお茶目な人で、私は自然と森山さんのことを好きになってしまっていたのだった。


「あ、あのっ!すきです!森山さんのことがずっと好きでした!」

私は、バレンタイン当日、森山さんの前でなけなしの勇気を振り絞っていた。お気に入りのスカートに、手作りのチョコケーキ。全部ぜんぶ、大好きな森山さんに私の想いが届いて欲しいがために準備されたもの。でも、私の告白に、森山さんは困った顔をしていた。もうその表情が、答えそのもので、私は視界がぼやけていくのを感じた。森山さんは困った顔をしたまま、「なまえちゃんのこと『友達の妹』としてみなきゃ…って思おうとしてた俺の葛藤はどうしたらいいんだ」だって。…え?

「俺いまどんな顔してるんだろ、嬉しすぎてどんな顔していいか分かんないや」

ごめんね、ありがとう、よろしくね、森山さんは私の頭を撫でた。「俺もなまえちゃんが好き、」信じられないけど、幻聴じゃ、ないみたい。


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