WJ+α | ナノ


「お待たせいたしました!こちらアイスティとアイスコーヒーでございま…す」

「よお〜お、なまえちゃんご機嫌いかがぁ?」

「おしゃれなカフェってのは酒は置いてないのか?」


3番テーブルにアイスティとアイスコーヒー1つずつ!早く!と、意地の悪い先輩にせかされて慌てて運んだ先には、赤いジャケットのオッサンと全身真っ黒のくたびれたスーツのオッサンが仲良くこちらに向かって手を降っていた。


「ルパンに次元さん!?」


びっくりした拍子に運んできたふたつのグラスの中身を少しこぼしてしまった。しまった!と後ろを振り向けば、あの先輩が腕組みをしてこちらを睨んでいるのが目に入る。こ、怖いです先輩…。


「い…今仕事中なんですけど…!」
「うんにゃ〜こちらもお仕事ですよっと」
「ちょっ!?きゃあっ!」


先輩にばれないように小声で断るとアイスティを掴んでいた手をルパンに掴まれた。いつものあの満面の笑みを向けられ、私はあっという間に担ぎ込まれておんぼろ車の中。後部座席には五ェ門さんも窮屈そうにつまっていて、押し込められた私は五ェ門さんに抱きつく形での乗車になってしまった。



「ご、ごめんなさ…!」
「い、いや…かまわん。」


顔を赤らめた五ェ門さんに釣られて私も顔があっつくなってしまう。しかし息つく暇もなく車が発進する。体勢を立て直して、運転席につくルパンにどこに行くの!?と叫ぶと「つ〜いてからのお楽しみぃ〜!」とはぐらかされてしまった。


「ていうか、せっかくやっと決まったバイトなんですけど……ううっ」
「まあまあ、今からの仕事が上手いこといけば、がっぽりずっかり儲かるんだぜ?」


次元さんが不敵に笑ってみせたけど、こういうふうにいきなり連れ出されて、手に入れたお宝や財宝やら宝石類はほとんど不二子姉さんに盗られて、残ったものは、成功祝賀会とかなんとか言って酒を浴びるように飲む人達だから、実際手元に来る金額はアルバイト代に釣り合わないことを私は知っている。


「でもさあ〜なまえちゃん?あそこのバイト楽しくなさそうにみえたけんどなあ?」


にこにこと笑うルパンとルームミラー越しに目が合って、ウィンクを飛ばされる。…確かに、毎日毎日義務的な作業に、嫌な先輩、ちょっと安めの時給にうんざりしていたのはあるけど…。図星を突かれて私が口ごもっていると、次元さんが付け足した。


「気付いてねーかもしれねぇが、車に乗り込んでからお前さんの口元、ずっと緩んでるぜ。」
「ぐっ……もういいよ、行きます行きます!行かせて頂きますとも!」


私がやけになって叫ぶと同時に、ルパンが「そうこなくっちゃあ!」とアクセルを踏み込んだ。増していくスピードに同調するように私の心臓もワクワクとドキドキが高まっていく。悔しいけれど、私はこの時間を待っていたみたいだ。





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